白哉と恋次に捕らえられ、ルキアは尸魂界へと戻ってきた。
それを聞いたは安心した。それにすごく嬉しかった。
恋次が『ルキアを必ず連れて帰ってくる』という約束を守ってくれたから。
けれど、ルキアはすぐに六番隊舎牢に入れられた。
懐かしい景色を見ることも、誰かに会うことも、何一つ許されず。
今、一部の者しかルキアに会うことはできない。
ルキアに会いたくても、ルキアと話をしたくても、にはできない。
白哉か恋次に『ルキアと面会したい』と言えば叶うだろうが、はそれをしない。
ルキアがに会いたいと思わない限り、の願いは叶わない。
「馬鹿ね。会いたいなら会いに行けばいいじゃない。どうしてそんなつまらない意地を張ってるの?」
以前、乱菊にそう言われた。
「友達とはどうなの?仲直りできた?」と聞かれ、「まだ会っていません」と答えたら、少し呆れたように言われた。
「向こうから来るのを待ってたらいつになるか分からないわよ?それに、向こうもアンタが来るのを待っているかもしれないわよ?」
「……怖いんです。会いたいけど、会うのがすごく怖いです」
「……」
『また拒絶されたらどうしよう』
そんなことを考えてしまう、弱い自分。本当に臆病だと思う。
誰かに何かを望んでばかりで、自分が傷付くのは嫌で。結局は自分のことしか考えていない。
『私、ルキアに一生会えないかもしれない』
本気で思っていた。
そんなことをずっと思い続けていた……。
ルキアが戻ってきてから数日が経った。
は信じられない言葉を耳にした。それを口にしたのは日番谷だった。
「極刑?…嘘。そんなの……」
「嘘じゃねえ。『第一級重禍罪。朽木ルキアを極囚とし、極刑に処す』これが中央四十六室が、尸魂界が下した決定だ」
この日行われた隊首会でルキアの裁定が発表された。
隊舎へと戻ってきた日番谷はそれをと乱菊に話した。
に話さなければならないと思ったから。ルキアを友達だと思っているには。
だが、に日番谷のそんな思いは伝わらなかった。
は頭がくらくらして、何も考えられなかった。頭を鈍器で殴られたように痛い。
日番谷の顔を見ることができない。目の前が真っ暗になり、の目には何も映らない。
そんな中、は泣きそうになるのを必死に堪えた。
『泣いてはダメ。絶対に泣いてはダメ』
何度も何度も、そう自分に言い聞かせていた。
日番谷は何も言わず、とてもつらそうにのことを見つめていた。
泣きたいのに泣けない。
泣きたくても泣くことを許さない。
そんなになんて声をかければいいのか、分からない。
すると、
「行きなさい」
ずっと黙っていた乱菊がはじめて口を開いた。
日番谷と。二人の視線が乱菊へと向けられる。
乱菊は小さく笑みを浮かべて、もう一度に言う。
「早く行きなさい。会いたいんでしょう?今すぐ会いに行きたいんでしょう?」
そう言って、乱菊はの頭を優しく撫でた。
手から伝わってくる乱菊の気持ち。はすごく嬉しかった。
泣きたい気持ちはまだ消えないけれど、は乱菊に笑ってみせた。
「乱菊さん。ありがとう」
そして、は執務室から飛び出していった。
六番隊舎に向かって力の限り走る。
ルキアのところに向かって。早く、早く。
六番隊舎に着くと、はゆっくりと走るのを止めた。
隊舎牢がどこにあるのか、分からなかったのだ。
いつもの方法で場所を探そうとしたが、できなかった。
『誰かに道を聞かなくちゃ』
そう思って誰かを探そうとしたとき、一人の隊士がのほうに向かって歩いてきた。
は飛びつくようにその隊士に話しかける。
「あの!すみません!六番隊舎牢はどこにありますか?」
「えっ?隊舎牢…ですか?」
額に刺青を入れた彼は、とても驚いた様子でを見ていた。
だが、のとても必死な顔を見ると、彼はにこっと笑って道を教えてくれた。とても丁寧に、分かりやすく。
「ありがとうございます!」
隊舎牢への行き方を教えてくれた六番隊士にお礼を言い、は再び走り出した。
その途中、後ろで声が聞こえたが、振り返るほどの余裕が今のになかった。
『早くルキアに会いたい』
ルキアへの思いがを走らせていた。
そして、はルキアがいる隊舎牢にやってきた。
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