『ルキアへ。
ルキア、元気ですか?
私は元気です。でも、少し不満かな。
最近は事務処理ばかりで任務に行ってないの。
十一番隊みたいに戦うことに生きがいを感じてるわけではないけど、毎日たくさんの書類とにらめっこっていうのも嫌だね。
事務処理は嫌いじゃないんだけど、このままだと腕が落ちてしまいそう。
私よりも強い人に三席を取られてしまいそうで、すごく怖いの。
三席っていう場所にしがみつく自分がすごく嫌になるけどね。
前に「任務に行きたい」って日番谷隊長に言ったら「駄目だ」って言われてしまいました。
でもね、それでもやっぱり不満。
だから身体がなまらないように稽古を始めました。
稽古と実践は全然違うけど、何もやらないよりはやったほうがいいと思うから。
大切な人を守りたいから。大好きな人の支えになりたいから。
だから、私、頑張るね。
そういえば、十三番隊の小椿三席からルキアが駐在任務で一ヶ月間現世に行くと聞きました。
一人で任務に行くのは初めてだよね?
ルキアなら大丈夫だと思うけど、やっぱり少し心配。
信じていないわけじゃないんだよ!任務は何があるか分からないものだから、だから心配なの。
ルキア、気をつけてね。
あとね、お守りを同封しました。
瑠璃の玉に紐を結んだものだけど、願掛けをしました。
何事もなく仕事を行うことができるように。無事に戻ってこれるように。
いっぱいいっぱい願いをこめたの。
もしよかったら持っていってください。
ルキアが無事に帰ってくるのを待っています。
』
手紙を書き終えるとは筆を置いた。
ゆっくりと息を吸い、吐き出す。
目を閉じると静寂の闇が広がる中で声が響いた。
「会いにいかないのか?」
は小さくため息をつき、ゆっくり目を開ける。
そこには曼珠沙華の姿があった。
「…勝手に具象化して出てこないでよ」
「まぁ、いいだろう」
「全く。自分勝手なんだから」
「もう一度聞く。会いにいかないのか?」
「……いけないよ」
「何故だ?会いたいのなら会いにいけばいいだろう?」
「……ルキアが望まないから」
今、ルキアにとっては友達ではない。
に会うことを、が会いにいくことを、ルキアは望まない。
がルキアを友達だと思っていても、それは一方的な思いでしかないのだから。
「私は待つって決めたの。ルキアが私を友達だと思えるまで。ルキアが私に会いに来るまで」
二人を結ぶ絆は消えていないことを信じているから。
だからこそ、はずっと待っているのだ。
「己の心のままに生きろ」
「ありがとう。曼珠沙華」
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