が目を覚めたと聞いて、たくさんの隊士が見舞いにやってきた。
皆の気持ちがはとても嬉しかった。
「さん」
「あ、恋次君。お見舞いに来てくれたの?」
「まぁ……一応。起きてて大丈夫なんすか?」
「大丈夫。明日には退院できるって。心配してくれてありがとう」
はとても嬉しそうに笑った。
そんなを見て、恋次は目を逸らす。
恋次の頬が髪と同じ色に染まっているのを隠すためだが、にはしっかり見えていた。
恋次は目を逸らしたままに尋ねる。
「さん、あの日アンタは何をしたんだ?」
恋次は気付いたら四番隊にいて、その日のうちに退院した。
虚との戦いで血を流しすぎてかなり危険な状態だったのに、生きていた。
一角に聞いても何も知らないと言う。
それならは何か知っているかもしれない。
そう思って恋次はのところに来たのだった。
「ごめんね。覚えてないんだ。あの日、自分が何をしたのか」
「そう…ですか……」
半分本当で半分嘘だった。
自分が何をしたのか、それは覚えている。
あの日、は恋次を助けたいと強く願い、斬魄刀を解放した。
けれど、それ以降は分からなかった。
恋次と同じように、気付いたら四番隊にいた。
ふとは自分の左手を見つめた。
一角との戦いのときにできた傷が、今はどこにもなかった。
「今の貴女は大量の霊力を失っている状態で、しばらく安静にしてください」という卯ノ花の言葉が耳に響いた。
「さん?どうかしたんすか?」
は、はっとしたように横を見る。
そこには黙り込んでしまったを心配する恋次の顔があった。
笑顔を見せて「なんでもない」と言うが、恋次の表情が晴れることなかった。
「……あんまり無理しないでくださいよ。さんは無理しすぎるときがあるんすから」
「そう?頑張ってるだけだけど?」
「何事にも一生懸命なのはさんの長所だが、短所でもある。何でもほどほどが大事なんだぜ」
は思い出した。以前、卯ノ花にも言われたことを。
自分では無理していることに気付かない、と。
また心配掛けてしまったと思い、心の中で反省した。
「…うん。気をつける」
それからと恋次はいろんなことを話した。
学生時代のことや今の自分のことなど、話は絶えなかった。
「恋次君、強くなったね」
「まだまだっす。俺はもっと強くなりたい」
「どうしてか、聞いてもいい?」
強くなりたいと願い続けるのは何故?
その気持ちはどこから来る?
「六番隊の朽木隊長よりも強くなりたいからです」
自分の想いを口にする恋次を見て、の脳裏に白哉の顔が浮かんだ。
そして小さく微笑み、恋次に言う。
「頑張れ」
叶わない願いはないと信じて、自分が選んだ道を進んで欲しい。
その先に何があっても……。
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