朽木白哉との過ごし方




六番隊隊舎・執務室。
月花は扉を叩き、中の者へと声を掛けた。

「十番隊第三席です。朽木隊長はいらっしゃいますか?」
「入れ」
「失礼します」

執務室に入ると、六番隊隊長朽木白哉がいた。
机の上にある書類を真面目に処理していることが分かる。
辺りを見回す
いつも隣にいるはずの赤髪副隊長がどこにもいない。

「阿散井副隊長はご一緒ではないのですね。珍しい」
「恋次は任務だ」
「なるほど」

白哉はのことをチラッと見た後、「何用だ」と尋ねた。
手を止めず、顔を上げずに、黙々と仕事をしたままで。
は全く気にせず、持っているものを白哉に見せた。

「書類を届けに参りました」

そして、それを白哉の目の前に差し出す。
白哉の顔がほんの一瞬、不機嫌そうに歪んだ。
だが、すぐに無表情へと戻し、白哉はそれを受け取った。
すると、

「いやぁ!本当に久しぶりだな!白坊-しろぼう-!」

はにっこりと笑ってすぐそばにあった長椅子に座った。
言葉遣いも態度もガラリと変わった。
白哉は平静を保とうとしているのだが、不機嫌なことは明らかだった。
仕事をしたまま白哉はに言う。

「その名で呼ぶなと言ったはずだ」
「まぁ、いいじゃないか。可愛いし」
「……仕事中は敬語を使うようにしたのではなかったか?」
「さっきの書類を届けることが今日最後の仕事だったんだ。だから今は仕事中ではないんだよ。白坊
「…………」

が白坊を強調して言うと、白哉は黙り込んでしまった。
怒りを堪えているらしいが、そんな様子を見て楽しんでいる
あはははは、と声を出しながら笑っていた。

「何故、仕事が終わったのにここにいる?用がないのなら帰れ」
「いやー、白坊にお前の娘の話をしてやろうと思ってさ」
「ルキアは娘ではないと何度言えば分かる?」
「いやいや。ルキアちゃんに対する白坊の態度は娘を心配する父親のそれと同じだぞ?地位と権力を使って席官候補から外すなんて特にな」
「………………」

白哉の肩がふるふると震えてきた。怒りを堪えるのも限界らしい。
はそろそろ本題に移ることにする。
白哉が斬魄刀・千本桜を手にする前に。

「ルキアちゃんの話をしてもいいか?できればお茶菓子があると嬉しいな」
「好きにするがいい」
「好きにさせてもらう!じゃ、お前も休憩な!今、お茶を淹れてくるから!」

そう言うと、は給湯室へと向かう。
白哉はようやく手を休めて、一息つくことができた。
そして、がいないことを確認し、小さく笑みを浮かべていた。










 (08.07.07)

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