久しぶりの非番。
日番谷とは隊首室でのんびりと読書していた。
すると、ある人物がやってきた。
それは……。
「やあ!日番谷隊長!!それに、も!!」
「浮竹……隊長」
「おーす。浮竹。どうした?何か用か?」
「…お前、呼び捨てでいいのかよ?あっちが先輩だろ?」
「いいんだよ。今は仕事中じゃないし。それに、親しいのに他人行儀なのも変だろ?なぁ?浮竹」
浮竹に話を振る。
すると、浮竹は「あははは」と楽しそうに笑いながら言う。
「そういえば、冬獅郎。アメ玉いるかい?」
「いらねっス」
「はっはっは!そうかそうか!」
「………」
机の上にアメ玉がたくさん入った袋を置く浮竹。
自分の話を全く聞かない浮竹に、三割は呆れ、七割は怒る日番谷。
そんな二人を笑いながら見つめている。
全く噛み合わない三人が揃っていても、時間は平等に流れていく。
「それで、今日はどうしたんだ?冬獅郎の誕生日は先月だぞ?」
「何言ってんだ!今日はの誕生日じゃないか!」
そう言って浮竹は持ってきた大きな包みを日番谷とに見せた。
日番谷は『まさか…』と思い、それを突き返そうとした。
けれど、
「わあ!大きいなあ!中身は何だ?」
「それは開けてみてのお楽しみだ!それじゃ、またな!」
に先を越されてしまい、結局、日番谷は何も言えないまま浮竹は十三番隊隊舎へ戻っていった。
は「またなー」と言いながら手を振っている。
一方の日番谷は肩をガクッと下げているのだが、はそのことに全く気付いていない。
「ねえ、冬獅郎。開けてもいい?」
「……お前がもらったんだから好きにしろ」
「わーい!何だろうなー!!」
は楽しそうに笑いながら、浮竹が持ってきたプレゼントを開ける。
中に入っていたものは、
「………うわぁ…」
の人形だった。しかも、等身大で、物凄いリアルな…。
それを見つめる二人の表情は、ほぼ同じだった。
日番谷は『やっぱりな…』と思いながら、呆れ顔を浮かべている。
は自分そっくりの人形に何にも言えず、物凄い嫌そうに顔を歪めている。
しばらく沈黙が続いたが、がそれを破った。
「……冬獅郎。コレ、どうしよ?」
「どっかに捨てろ」
「んー」
普通に捨てたら迷惑だろう。
かといって、燃やすのもまずい気がする。
何か祟りがありそうな気がして、怖い。
というか、人形があまりにリアルすぎて扱いに困るのだ。
だが、結局いい考えは浮かばず、は日番谷にピタッとくっつき、言う。
「ねー。冬獅郎にあげるっていうのは?」
「いらん!」
「えー!傷付くなぁ…」
日番谷の答えに、はショックを受けた。
そんなにはっきりと「いらん!」と言われるとは思わなかった。
は、日番谷のそばを離れ、大きなため息をついた。
すると、
「がいるからいいんだよ」
小さな呟きが聞こえた。
が後ろを振り返ると、日番谷の後ろ姿がある。
チラッとだが、頬を赤く染める日番谷の顔が見えた。
「冬獅郎!」
「うわっ!」
思わず、声を上げる日番谷。
の、後ろから抱きつくという突然の行動に、驚いた。
「だーいすき!!」
終