放課後。
は友達と別れると1人、生徒会室へと向かっていた。
階を1つ上がって、夕日に照らされた廊下を西スロープ方向へと歩く。
普段はあまり通らない4階の廊下もここ数ヶ月でたいぶ通い慣れた。
そうして見えてくるのは学校の扉とは思えないほどの重厚感を持った両開きの扉。
はじめは誰でも入ることを躊躇するその部屋の扉も、は慣れた手つきで大きく開けた。
(失礼します。R-2の…(、こっち)
の声を遮った人物―――。
この学校の現生徒会長、日番谷冬獅郎は、薄く笑みを浮かべてその手でを手招いた。
(おいで、)
まるで誘われるように真っ直ぐ彼へと向かう。
そして深々とソファに座った日番谷にが手を伸ばすのと、日番谷がを抱き寄せるのはほぼ同時だった。
(んっ…ふ、っ…ぁ…ン)
(…は、…っ…)
お互いを貪るように短く深く口付け合って、僅かに離れる。
の腕が日番谷の首にぎゅっとまわされて、日番谷の手がの後頭部と頬を優しく撫でた。
(、今日お前に触れた男は?)
(いません)
(じゃぁ、お前に話しかけた男は?)
(黒崎くんと阿散井くんと浮竹先生だけです)
(内容は?)
(黒崎くんが来月提出のレポート、阿散井くんが授業中に出た問題の解答、
浮竹先生が日番谷先輩からの連絡事項についてです)
(…よし)
の話をすべて聞き終えると日番谷は満足そうに微笑んで、そっと彼女の頬に唇を寄せた。
日番谷はが自分以外の男に触れられることも、話かけられることも絶対に許さなかった。
ただ、黒崎や阿散井は自分が彼らと顔なじみだと理由から彼女と接することを許した。
そうして日番谷はいつだってを、のすべてを支配したがった。
傍からみれば異常な愛執。けれど日番谷は束縛したいほどを愛しているから、に執着しを独占する。
そしてもそんな日番谷を愛していたから、自分を束縛する彼を独占した。
()
(はい?)
(何処にも行かせねぇから)
(はい)
(お前は俺だけを見ていればいい)
(わかって、います……んっ…ぁ、先輩…)
それは決め事であり誓い。
自分を欲した日番谷には抗う気など微塵もなく、従うことこそが幸せ。
自由を望むことが愛ではなくて、彼女が求めたものでもない。
深く重ねられた唇の隙間から自ら舌を差し入れて、絡めとってはなぞっては甘える。
(何処にも行かない、だって先輩が居なくちゃわたし、何処にも行けないもの)
(傍にいろ、お前がいないと俺の気が振れる)
(わたしだって、先輩がいないと息も出来ない)
与えられる、緩やかで艶やかな愛撫には日番谷の腕に抱かれて甘い吐息を漏らす。
そんなが日番谷はただただ狂おしくて、背中に感じた小さな痛みにさえ頬を緩めて悦んだ。
独占かつ快感に愛らしく爪あと
俺はお前のルール。お前の支配者。
つまりお前に必要なのは俺だけ。