気が付けば、夜は静かにふけていた。
いつにもまして寝つきの悪かった我が子の頬をそっと撫でて、冬獅郎が安心したように小さく息をつく。

「やっと寝たな」
「そだね」

自分の腕の中で可愛らしく寝息を立てている娘――を、そっと自分と冬獅郎の布団の間に敷かれた小さな布団に寝かせて
その穏やかな寝顔を二人で見つめる。冬獅郎の手がツン、と優しくの頬をつっついた。

「ったく、一日中遊びまわったっつーのに夜更かしとは元気な奴」
「ふふ、子供は疲れ知らずだから」
「俺はクタクタだけどな」
「あら、と遊び足りないのは冬獅郎の方じゃないの?」
「な…!んなわけねぇーだろ…!!」

ちょっとムキになった冬獅郎に思わず笑ってしまう。結婚しても、子供が生まれても、彼のこういうところは変わってない。
"お父さん"とはじめてに呼ばれたときだって、真っ赤になって目を潤ませて――。

本当に、真っ直ぐで可愛いひと。

クスクスと笑いながら、ツン、と冬獅郎と一緒になっての頬をつっつけばがきゅっと眉を顰めた。

「あ。眉間に皺を寄せた顔なんてそっくりだよ、お父さん」
「ばーか。笑った顔はおまえ似だろ、お母さん」
「えー…。負けず嫌いなとこは絶対、お父さんに似たんだよ。ねぇー?」
「食欲旺盛なとこはお母さんに似たんだぞ、
「じゃぁ、甘えん坊なところはー?」
「あー…それは、」


「「どっちにも」」


お互いの声が綺麗に重なって、思わず顔を見合わせて噴出した。
娘が可愛くって仕方ないなんて、わたしも冬獅郎もかなりの親バカね。けど仕方ないじゃない。

お互いが、が、家族が


愛おしくって堪らないんだから。



、」
「なぁに?」
「もっともっと幸せになろうな」
「ん、」